いざ起業をし、見込み客と出会う手段として真っ先に浮かぶのが「交流会」への参加でしょう。
交流会に参加すると、ほぼ確実に名刺交換をします。
しかし、ただ名刺交換しただけでは記憶の片隅に追いやられ、次につなげていくことができません。
そこで、心理学的にみてビジネスパーソンとして好感を与える名刺交換術をお伝えします。
話しすぎはNG!会話のバランス
交流会参加の目的はさまざまです。
しかし契約ほしさに、いきなり自己PRをし、自分だけぺらぺらと話していませんか?
それでは逆効果です。
できるビジネスパーソンと思われるポイント1つ目は「会話のバランス」にあります。
冷静に考えてみていただきたいのですが、名刺交換していきなり自社PRを延々と話す相手から商品を買いたいと思いますか。
おそらくNOでしょう。
なぜなら一方的に話す相手に対して、心を開くことができないからです。
アピールしたい気持ちもあるとは思いますが、「話しすぎない」ように意識をしましょう。
名刺交換タイムはまずは相手に興味を持ち、質問をすることをおすすめします。
「どちらで提供しているのですか」
「この仕事を始めようとしたのは、どのようなきっかけからですか」
質問することで、相手の人間性や考えを知ることができます。
また、相手に興味を持つことで返報性の働きます。
相手もあなたに対して興味を持つ可能性が高くなるでしょう。
返報性の法則とは、人から親切をしてもらったら「返さなくては」という心理になることを指します。
無意識的に心の距離感が縮まりやすくなります。まずは自分から質問をし、会話のキャッチボールを楽しみましょう。
まずは自分が相手に興味を持つことで、返報性の法則によって相手も興味を持ってくれますよ。
余白を残したコミュニケーションの価値
2つ目のポイントは「余白を残したコミュニケーション」です。
最初に聴き手に回ることで、名刺交換時に相手からの質問をしてもらい、聴く体制が整った状態で話せる可能性が高まります。
しかし、聴く体制があるからといって、調子に乗ってたくさん話すのはおすすめしません。
話す際には「余白」を作りましょう。
一度にすべてを話すと聴き手は満足し、別の人との名刺交換へと動いてしまう可能性が濃厚です。
加えて、短い時間で正確に事業について回答するのは難しく、部分的にしか伝わらないことが少なくありません。
せっかく興味を持ってくれているのに、一部分しか伝わらない状態で、相手が「聴いた」つもりになるのはビジネス的にいかがなものでしょうか。
せっかく興味を持ってくれた相手がいるのなら、一度ですべて回答するよりも
「このケースなら、こういう解決策もありますよ」
「○○社のケースではこういう改善策を行いました」
と他の可能性を示した返し方をしましょう。
正確に伝えようと伝える姿は、誠実なイメージを与えることにも通じます。
「もっと知りたいから、後日お茶をしませんか」
「私の場合はどうかが気になるので、後日時間をとってくれませんか」
などと、次回の約束にもつながりやすくなるでしょう。
いっぺんにすべてを伝えようとしなくてOK!事例を示して、次につなげていくことも大事です。
ベラベラ話しても聞いてもらえない!メリット提示を
3つ目のポイントは「メリット提示」をすることです。
先ほどとも重複するところがありますが、ベラベラと一方的に話したとしても、他業界や他の職種について詳しい知見を持っていない相手が大多数です。
一生懸命にあなたが伝えようとしても、相手が覚えられるのはせいぜい1~2つ程度にすぎません。
一度にすべてを伝えようと思うのを諦めて、的を絞って話すようにしましょう。
あなたの商品やサービスの最大級のウリはどこにありますか。
競合他社と比べて勝るところはどこでしょうか。
たとえばデザインの仕事の場合、「細かなレスポンス能力ときめ細やかなフォロー力」や「美大卒で、アーティステックなデザインができる」などの経歴や性格的な特徴がウリになるケースもあるかもしれません。
どの会社やビジネスにおいても、魅力は複数あるとは思いますが、伝わる情報数はわずかです。
聞かれたときにパパっとこたえられるように、端的にメリット提示することで伝わるコミュニケーションとなります。
絞った答え方を心掛けましょう。
どうしても端的に言えないのなら、「一番のウリは○○です」「最大の特徴は○○になります」などの言い方をすることで、メリットがわかりやすく、ほかにも魅力があることを醸し出すことが可能です。
冗長な言い方をせずに、わかりやすいメリットの伝え方をしましょう。
「買わなくてもいいですよ」がなぜ心揺さぶられる?
4つ目のポイントは「買わなくてもいいですよ」と伝えることです。
まさか初対面の相手にいきなり商品やサービスを売りつけようとはしていないとは思います。
しかし話し上手でセールスの組み立てができていると、その場で強く興味関心を持つ人も出てくることもあるでしょう。
興味を持つ相手がいると、魅力をさらに伝えて決断を迫りたくなる人もいるかもしれません。
しかし「買わないでもいいですよ」と提案することで、相手に決断をゆだねることができ、結果的に購入になりやすいともされています。
心理学ではBut you are free法(バッド・ユー・アー・フリー法)という手法で、「けど、あなたの自由です」と突っぱねることを指します。
たとえば商談や話し合いの際に「商品はいい。けれども高い」と思っている相手に対して、商品の魅力を伝えた上で「買わないでもいいですよ」と決断を相手にゆだねます。
その結果、売り込まれた心境にはなりづらく、自由意思で決断をしての購入になりやすくなるのです。
いうタイミングが重要なフレーズではありますが、のちのトラブルを回避しやすい言葉でもあるので、ぜひ活用しましょう。
良さを伝えた上で「あなたの自由です」と決断をゆだねることで、トラブル回避できます。
メリットのみはタブー!デメリットを伝える
5つ目のポイントは「デメリットを伝える」ことです。
起業したてのころには、相手に反論されたり、否定されるのが怖く、都合のいい部分だけを切り取って伝えてしまう方もいるかもしれません。
しかし、どれほど優れた商品にも、短所や注意点は存在します。
必ず、デメリットも伝えましょう。
心理学ではよい点だけを伝えることを片面提示といい、よい点と悪い点の両方を伝えることを両面提示といいます。
片面提示は、話しているときはいいかもしれませんが、後日「こんなはずではなかった」「こんなことになるとは聞いていない」などとクレームや返品に発展するリスクをはらんでいます。
両面提示は良い点と悪い点の両方を伝えることで、相手に誠実な印象を与えられます。
たとえば「美大卒で他のクリエイターではマネできない高度なデザインも描けます。
一方で、クオリティにこだわっているため、1か月内に10件以上の受注はできません」などの言い方です。
この場合のメリットは「高度なデザイン力」であり、デメリットは「受注数の制限」です。
デメリットを伝えることで、誠実な印象を与えるだけでなく、クレームを防止することにも役立ちます。
いい部分も悪い部分も両方伝えることで誠実さが増します。
まとめ
名刺交換の際に使える5つの心理術をご紹介しました。
ビジネスもコミュニケーションの上で成り立っています。
相手にも興味を持って質問をし、会話のキャッチボールを楽しみましょう。
またデメリットを敢えて伝えたり、決断を相手にゆだねたりすることで誠実な印象を増すことになり、信頼構築にも役立ちます。
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