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見比べてみれば、世界の通貨は色とりどり

FXでは、世界の通貨一つひとつが「商品」です。

大きい商品、強い商品もあれば、小さい商品、弱い商品もありますが、それぞれに個性、持ち味があります。

それをうまく活かしながら、損失を避けつつできるだけ大きな利益を狙うのが、FXの面白さです。

ここではFXの通貨ペアでよく利用されている円、ドル、ユーロの「三大通貨」や「資源国通貨」、主な「マイナー通貨」について、特徴やポイントを簡単にご紹介していきます。

アメリカドルとユーロはどんな違いがある?

日本円(JPY)

日本円はアメリカドル、ユーロとともに世界の「三大通貨」です。外国為替の取引高でも世界第3位です。

貿易や金融取引の決済通貨としてはドルやユーロに見劣りし、21世紀に入ってGDP世界第2位の座を「人民元」の中国に譲りましたが、それでも経済大国ニッポンの存在感はまだまだ健在です。

円の売り物は「安定感」です。

インフレになる気配すらなく、日本銀行は超低金利政策を約30年にわたって続け、変化に乏しい分、戦争やテロ、金融危機など世界に何かが起こったとき、避難先として日本円の安定感が買われて円高になります。

それを「有事の円買い」と言います。

2011年3月の東日本大震災直後のように、日本に悪い出来事が起こってもなぜか円が買われたり、鉱工業生産指数など国内経済指標が悪化すると円が買われて円高になり、それが改善すると売られて円安になるなど、一般的な常識とは正反対なこともよく起こっているので注意してください。

アメリカドル(USD)

アメリカ合衆国はご存知のように、世界のGDPの約25%を占める経済のスーパーパワーです。

世界中から移民を集めた3億人を超える人口とその旺盛な消費も、ボーイングやアップルやアマゾンやディズニーなど巨大企業の数々も、世界に派兵する強大な軍事力も、シェールオイルで世界最大級の産油国に躍り出たことも、「強い通貨ドル」の背景にあります。

ドルは貿易や金融取引の決済に最も使われる「基軸通貨」で、世界中の政府や中央銀行や企業や個人が保有しています。

毎月第1金曜日に発表されるアメリカの雇用統計、アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が年8回開く「連邦公開市場委員会(FOMC)」、4年ごとにある大統領選挙の結果は、世界の為替市場に大きな影響を及ぼします。

FXの投資家にとって、それは大きなチャンスを意味します。

ユーロ(EUR)

1999年に欧州連合(EU)加盟11ヵ国が参加して誕生した新しい通貨で、ドイツマルク、フランスフラン、イタリアリラなど主要国の通貨を統合しました。現在は19ヵ国で使われています

その「ユーロ圏」を管轄する中央銀行として「欧州中央銀行(ECB)」がドイツのフランクフルトに置かれています。

EU加盟国は離脱予定の英国も含め28ヵ国ですが、その中の英国、スウェーデンなど9ヵ国の通貨はユーロではありません。

ユーロ圏全体のGDPは世界の約20%を占めるほど巨大なので、貿易や金融取引の決済通貨としてユーロはアメリカドルに次ぐ地位を占めます。

経済の最強国は自動車輸出大国のドイツです。

しかしユーロ圏のギリシャで財政危機が起きるなど足腰は決して強固ではありません。

近年は中東からの難民問題、イスラム過激派のテロ、各国議会での反EU勢力の台頭、英国のEU離脱問題などに振り回されています。

とはいえ、そんな不安定さはFXの投資家にとっては「チャンスあり」と映っているかもしれません

人気の「資源国通貨」の行方は中国次第?

英国ポンド(GBP)

約100年前の第一次世界大戦の頃までは、世界中に植民地を持ち経済でも軍事でもスーパーパワーだった「大英帝国」の通貨、英国ポンド(スターリングポンド)は世界の「基軸通貨」で、ヨーロッパ大陸で戦争や革命が起きると「有事のポンド買い」が起きました。1920年代に基軸通貨の地位をアメリカドルに譲りましたが、それでもロンドンの金融街「シティ」は現在もニューヨークのウォール街と並ぶ世界の金融の中心地です。債券、貴金属、保険の分野では今も世界の中心で、中東の産油国との関係が深いのでオイルマネーが流れ込むのも大きな特徴です。

 英国は1973年にEUに加盟しましたが、英国政府はユーロに参加せず、ポンドを守り続けました。EU離脱問題でいま揺れに揺れていますが、中央銀行のイングランド銀行の金融政策ともども、伝統ある英国ポンドのレートは比較的安定しています。

スイスフラン(CHF)

スイスはヨーロッパの小国ですが、通貨のスイスフランは特に金融取引の分野で重要な地位を占め、世界中で使われるのでドルやユーロや円にもひけをとらないメジャー通貨です。

その理由は、永世中立国で何世紀も対外戦争をしたり、外国の戦争に巻き込まれたりしていないことと、スイスの銀行がその「顧客の秘密厳守」の姿勢で世界から高い信頼を得ていることが挙げられます

世界の名だたる資産家が資金を預けているといいます。

最近まで金融政策や通貨の安定感が評価され、世界のどこかで戦争やテロや金融危機が起きると「有事のスイスフラン買い」が「有事の円買い」とともに起きていました。

しかし2015年にユーロに対し極端なフラン高になる「スイスフランショック」が起き、少し変化が起きています。

オーストラリアドル(AUD)

オーストラリアドルは、カナダドル、ロシアルーブル、南アフリカランドなどとともに「資源国通貨」の代表とみなされています。

資源国通貨の特徴は、原油などエネルギー価格、金や銅など貴金属価格、小麦やトウモロコシなど農産物価格の動向に左右されることです。

資源価格は消費国の景気に影響されますが、とりわけオーストラリアは地理的に近い「世界の工場」中国の景気に大きく左右されます

もしもアメリカが中国からの鉄鋼製品の輸入に高い関税を課したら、中国への石炭、鉄鉱石の輸出が激減するため、オーストラリア経済は深刻な打撃を受けるでしょう。

オーストラリアドルのレートは、資源価格の動きとともに、毎月初めに発表される「製造業PMI」のような中国の経済指標の動きでも敏感に変動し、まるで「中国経済のバロメーター」のようになっています。

カナダドル(CAD)

カナダは産油国で、金やダイヤモンド、ウランなどもとれます。小麦や大豆の大農業地帯もあります。

カナダドルもオーストラリアドルと同じく「資源国通貨」ですが、オーストラリアドルが中国の景気の影響を受けやすいのに対し、カナダドルは南隣のアメリカの景気の影響を受けやすい点が違います

もう一つの違いは、カナダが資源輸出一本槍の「一次産品依存経済」ではないことです。たとえばボンバルディア社はボーイング、エアバスに次ぐ世界第3位の航空機メーカーで、鉄道車両でも世界的に知られています。

中国と違ってカナダとアメリカの関係は悪くないこともあり、カナダドルはオーストラリアドルよりも安定性は高いと言えます。

マイナー通貨は政治情勢に左右されやすい

南アフリカランド(ZAR)

南アフリカは世界一の金の生産国で、プラチナ(白金)、ダイヤモンド、マンガン、クロムや各種レアメタル(希少金属)など、さまざまな資源を産出します。

そのため南アフリカランドは「資源国通貨」の性格を強く帯びますが、それに加え、アフリカ大陸随一の工業国でもあります。

「21世紀後半はアフリカの時代が来る」と言われるほど将来性があるアフリカ大陸の経済を引っ張る存在という強みもありますが、その一方で政治的な安定性を欠くという弱みもあります。

トルコリラ(TRY)

トルコは国土がヨーロッパにまたがり、将来のEU加盟を目指していますが、アジアではシリア、イラク、イランという「火薬庫」のような国々と国境を接しています。

独裁色を強めるエルドアン政権はテロの脅威にさらされ、クーデター未遂事件まで起きています。

難民が流入しロシアやアメリカとの関係も悪化するなど、不安定要素満載の国です。

それでもトルコリラは現在、FXの世界ではかなりの人気があります。理由はただ一つ「金利が高い」ことです。

トルコ中央銀行は2018年9月に政策金利を24%に引き上げ、普通預金の利率が6%、1年定期の利率が10~14%という、超低金利の日本から見たら夢のような高金利です。

FXには、通貨ペアの政策金利の差を補正する「スワップポイント」というしくみがあり、「TRY/JPY」の通貨ペアの政策金利差はトルコ24%対日本0%(ゼロ金利)なので、トルコリラを持つ日本の投資家はスワップポイントがザクザクもらえます。

1万トルコリラ(約19万円)を保有したら、日本円換算で3000円前後が毎月もらえるほどです。

ハンガリーフォリント(HUF)

ハンガリーはEU加盟国ですが、ユーロには参加せずハンガリーフォリントという独自の通貨を発行しています。

このフォリントの人気が一時、日本のFX投資家の間で高まったことがありました。

理由はトルコリラと同じく「高金利通貨」で、スワップポイントが入るおいしい通貨とみなされました。

ハンガリーは1989年の「ベルリンの壁の崩壊」の少し前からソ連圏を脱して資本主義経済に移行したものの、経済運営に失敗してひどいインフレが起き、それを抑えるために高金利政策を実施しました。

1996年には政策金利が28%まで上昇しました。しかしハンガリー中央銀行は政策を転換し、2011年8月時点で7%だった政策金利は2014年6月までに2.1%まで下がり、現在はさらに下がって0.9%です。

ハンガリーの政情は比較的安定していますが、高金利通貨でなくなったハンガリーフォリントは今、日本のFX投資家から見向きもされなくなりました。

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