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暗号資産交換業者と事故補償の現状

暗号資産の事故は発生していますが、原因としては暗号資産交換業者のセキュリティ対策が不十分なことにより多く発生しています。では暗号資産交換業者とはどのような基準で成立しているのか、どのような業者があるのか、また事件の補償はどのようになっているのかなどについて触れてみます。暗号資産の取引では交換業者の選択が重要になってきています。

1.暗号資産交換業者とは

資金決済法において、仮想通貨を暗号資産と読み替えますと、暗号資産交換業とは、「暗号資産と法定通貨または暗号資産同士の交換(交換の媒介、取次等を含みます。)」や「交換に際して利用者の金銭・暗号資産を管理する業務」をいいます。暗号資産交換業者とはそれらを業として行う者です。

2.暗号資産交換業者の義務

事業者に登録制が導入され、各種の義務が設定されています。

*仮想通貨交換業者に関する内閣府令 第九条(財産的基礎)
(平成二十九年内閣府令第七号) 施行日:平成三十年六月一日

(1) 登録制の導入

金融庁・財務局の登録を受けた事業者のみが、国内で暗号資産通貨交換業を行うことができます。登録を受けるためには、日本国内で暗号資産交換業を行う事業者は、次のような要件を満たす必要があります。

  1. 株式会社であること
  2. 資本金が1,000万円以上、純資産がマイナスでないこと
  3. 仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制が整備されていること など

(2) 利用者への適切な情報提供

利用者が仮想通貨に関するリスクなどを理解したうえで、取引を開始できるようにするために、暗号資産交換業者は、利用者に対して次の情報を提供することが義務づけられています。

  1. 取り扱う暗号資産の名称や仕組みなどの説明
  2. 仮想通貨の特性(法定通貨ではないことや価格変動があることなど)
  3. 手数料などの契約内容 など

(3) 利用者財産の分別管理

仮想通貨交換業者は、利用者から預かった金銭・仮想通貨と、事業者自身の金銭・仮想通貨とを明確に区分して管理することが義務づけられています。

(4) 取引時確認の実施

マネー・ローンダリング対策のために、次の場合には、利用者に対し運転免許証などの公的証明書による確認をすることが義務づけられます。

  1. 口座開設時
  2. 200万円を超える仮想通貨の交換・現金取引
  3. 10万円を超える仮想通貨の移転

このほか、仮想通貨交換業者が上記の義務に違反するなど、不適切な行為があったときは、金融庁・財務局から業務改善命令や業務の停止命令等を出せるようになりました。

3.仮想通貨交換業者登録一覧     令和元年7月25日現在

暗号資産(仮想通貨)の交換事業者については下記の通りです。【全業者数:19】

・株式会社マネーパートナーズ
東京都港区六本木3-2-1 03-4540-3800
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン) 

・QUOINE株式会社
東京都中央区京橋2-2-1 03-6261-6333
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、BCH(ビットコインキャッシュ)、QASH(キャッシュ)、XRP(リップル)

・株式会社bitFlyer
東京都港区赤坂9-7-1 03-6435-5523
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、ETC(イーサリアムクラシック)、LTC(ライトコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)、MONA(モナコイン)、LSK(リスク)

・ビットバンク株式会社
東京都品川区西五反田7-20-9 03-6427-1520
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、XRP(リップル)、LTC(ライトコイン)、MONA(モナコイン)、BCC(ビットコインキャッシュ)

・SBIバーチャル・カレンシーズ株式会社
東京都港区六本木3-1-1 03-4577-4577
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、XRP(リップル)

・GMOコイン株式会社
東京都渋谷区桜丘町20-1 03-6221-0219
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、BCH(ビットコインキャッシュ)、LTC(ライトコイン)、XRP(リップル)

・フォビジャパン株式会社
東京都港区六本木6-2-31 03-6680-8920
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、XRP(リップル)、LTC(ライトコイン)、MONA(モナコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)

・BTCボックス株式会社
東京都中央区日本橋茅場町2-8-1 BRICK GATE 茅場町5階 03-5579-9730
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)、ETH(イーサリアム)、LTC(ライトコイン)

・株式会社ビットポイントジャパン
東京都港区六本木3-2-1 03-6303-0314
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、XRP(リップル)、LTC(ライトコイン)、BCC(ビットコインキャッシュ)

・株式会社DMM Bitcoin
東京都中央区日本橋2-7-1 東京日本橋タワー10階 03-6262-3462
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、XRP(リップル)

・TaoTao株式会社
東京都港区新橋5-1-9 03-6689-7878
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)

・Bitgate株式会社
神奈川県横浜市中区常盤町2-11 045-226-5750
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)

・株式会社BITOCEAN
東京都江東区南砂2-36-11 プライムタワー東陽町8F 03-6666-9037
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)

・コインチェック株式会社
東京都渋谷区円山町3-6 03-6416-5370
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、ETC(イーサリアムクラシック)、LSK(リスク)、FCT(ファクトム)、XRP(リップル)、XEM(ネム)、LTC(ライトコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)、MONA(モナコイン)

・楽天ウォレット株式会社
東京都世田谷区玉川1-14-1 楽天クリムゾンハウス 050-5433-9259
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、BCH(ビットコインキャッシュ)

・株式会社ディーカレット
東京都千代田区富士見2-10-2 飯田橋グラン・ブルーム 03-5205-6539
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、BCH(ビットコインキャッシュ)、LTC(ライトコイン)、XRP(リップル)

・株式会社フィスコ仮想通貨取引所
大阪府岸和田市荒木町2-18-15 03-5774-2440
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、MONA(モナコイン)、FSCC(フィスココイン)、NCXC(ネクスコイン)、CICC(カイカコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)、XCP(カウンターパーティー)、ZAIF(ザイフ)、BCY(ビットクリスタル)、SJCX(ストレージコインエックス)、PEPECASH(ぺぺキャッシュ)、Zen(ゼン)、XEM(ネム)、ETH(イーサリアム)、CMS(コムサ)

・テックビューロ株式会社
大阪府大阪市西区靱本町1-5-18 06-6533-2230
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、MONA(モナコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)、XCP(カウンターパーティー)、ZAIF(ザイフ)、BCY(ビットクリスタル)、SJCX(ストレージコインエックス)、PEPECASH(ぺぺキャッシュ)、FSCC(フィスココイン)、CICC(カイカコイン)、NCXC(ネクスコイン)、Zen(ゼン)、XEM(ゼム(ネム))、ETH(イーサリアム)、CMS(コムサ)

・株式会社Xtheta
大阪府大阪市中央区南船場3-11-18 郵政福祉心斎橋ビル204 06-6226-8628
取り扱う仮想通貨/BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、BCH(ビットコインキャッシュ)、XRP(リップル)、LTC(ライトコイン)、ETC(イーサリアムクラシック)、XEM(ネム)、MONA(モナコイン)、XCP(カウンターパーティー)

4.暗号資産交換業者による事故・事件の補償例

(1) テックビューロ株式会社(大阪市)の運営する仮想通貨交換所「Zaif」事件

2018年9月14日、テックビューロ(大阪市)の運営する仮想通貨交換所「Zaif」に不正アクセスがあり、約70億円分の仮想通貨(ビットコイン、ビットコインキャッシュ、モナコイン)が流出しました。

テックビューロはZaifからの仮想通貨の流出の発表と同時に、JASDAQ上場の株式会社フィスコが子会社を通じてテックビューロの株式の過半数を取得して50億円の金融支援を行う資本提携を締結、これらを原資として仮想通貨を取得し、利用者に対して現物で補償すると発表しました。

(2) コインチェック仮想通貨ネム流出事件−26万人に460億円返金

コインチェックは、仮想通貨ネムを保有する約26万人全員に日本円で返金補償すると発表しました。被害額は580億円相当とされますが、相場下落により補償総額は約463億円となります。流出したのは5億2300万ネム。1ネム=88.549円のレートで計算し返金するとしました。

6.損害補てん規約例

交換業者の株式会社 bitFlyerでは「メールアドレス・パスワード等の盗取による不正な日本円出金に伴う損害補てん規約」を公表しています。

参考https://bitflyer.com/contactpage

補償対象者は、二段階認証登録ユーザーを対象とします。

適用対象は、「本規約の範囲内で盗取されたアカウント登録メールアドレス(以下「メールアドレス」といいます。)・パスワード等を用いて行われた補償対象者のアカウントより銀行口座へ日本円の不正振込み(以下「不正な日本円出金」といいます。)による被害額を補償します。この被害額には不正払戻し等の額に相当する金額のほか、これに付随する手数料額を含めるものとします。」としています。

補償対象金額は、「第 3 条(補償上限金額)に定める範囲内で、第 5 条(補償対象期間)に定める補償対象期間内に行われた不正な日本円出金に伴う被害額から二段階認証登録ユーザーが加入している保険契約等から支払を受けた保険金または共済金を控除した金額とします。」としています。

まとめ

電子マネーではスマホ決済の電子システムについてもセキュリティの甘さを突いたハッカーの事件が起きています。

その他の各種のデータベースへのハッキング事故では金額自体や被害額の補償はされるにしても流出した個人情報のリスクがあります。また、流出した金額が巨額な場合は暗号資産交換所企業の倒産もあり得ます。銀行倒産などとは違いそれを保証する制度はありません。現状では個人リスクがあることは知っておくべきでしょう。

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