起業は個人で始めても事業の拡大とともに法人化が必要になってきます。
また、最初から信用獲得の上から法人でスタートする場合もあるでしょう。
法人化のハードルが下がっている現在、法人化は最初から検討しても良いテーマなんだ
法人化にはどの程度の費用がかかるのか、法人にも株式会社以外の形態もあり事業目的により検討できることを考えてみましょう。
個人事業と法人事業の相違
個人事業の規模が大きくなれば法人化の必要性が出てきます。
個人事業であれば経営リスクを代表者がすべて負うことになります。
法人化のメリット
個人であれば信用性で限界があります。
顧客の信用を得るには法人化が必要でしょう。
個人事業では当然個人名で、法人化されていない任意団体では銀行口座の開設など対外的な契約は代表者の個人名義で行わなければなりません。
任意法人名を付けて、次に「代表」と肩書を付け、個人名をつけた口座名になります。
基本的に個人口座の扱いです。
代表者が変わるごとに口座の名義変更が必要な点も出てくるぞ。
法人化すれば法人名の口座開設が可能となり、代表者が変わっても法人口座はもちろん変更されません。
個人では採用上の信用性が乏しく思われ募集に影響します。
法人化すれば法人名で従業員の採用・雇用などが行えます。
物品のリース契約でも任意団体では代表者が個人名義で行わなければならない点がありますが、法人化し法人契約が可能になれば代表者の個人リスクがなくなります。
損害賠償の責任も、法人用の損害賠償保険に加入できるため原則として代表者個人ではなく法人が負うことになり、代表者のリスクを軽減できます。
個人の所得税は儲けによって税率が上がります。
そのため一定の儲け以上になると、個人の所得税率が法人税の税率よりも高くなります。
これに対し、株式会社への税金は最大23.2%でそれ以上には上がらないんだ
一定の儲け以上になったときには法人化の検討時期です。
法人化のデメリット
株式会社の場合、
- 登録免許税 最低15万円
- 公証人定款認証手数料 5万円
- 定款印紙代 4万円(ただし、電子定款の場合は印紙不要)
がかかります。
法人は赤字であれば所得税はかかりませんが法人地方税は赤字でもかかります。
年間7万円です。
法律上定められた書類作成など事務手続きが増え、経理処理も法人として行うことになるので個人や任意団体より複雑になります。一定規模になれば決算や税務申告等のため税理士事務所との顧問契約が必要になる場合もあります。
株式会社の設立
株式会社設立の際の資本金ですが、2006年に施行された新会社法によって、最低資本の規定がなくなり1円以上の資本金があれば株式会社が設立できるようになりました。
起業家(出資者)が資本金とする金額を自らの個人名義の口座に入金して通帳のコピーをとり、そのコピーを法務局に提出します。
会社設立の手続きは下記通りです。
株式会社設立の手続き
定款に定める必要事項の決定し、発起人全員の実印・印鑑証明を用意、発起人全員の同意により定款を作成します。
定款の認証が完了すると、認証日より後に発起人全員で資本金の払い込みを行います。
株式会社においては、重要事項の決定は株主総会において行います。
取締役の選任や解任、取締役の報酬(役員報酬)の決定などだな
出資割合に応じた議決権が与えられるので、意見が食い違った場合に、経営者の提案が否認されることもあります。
また、2人出資・経営で同額出資であれば株主総会議で意見が食い違ったら議案が可決されません。
友人同士で共同出資する場合、最初は仲が良くても一緒に事業を行っていくうちに、お互いの意見が異なってくるということがありえます。
2人がお互いに取締役になっているような場合、簡単に一方の取締役を解任することができません。株主総会で決定する必要があるからです。
設立に関する登録免許税、手数料など
株式会社
株式会社の設立登記をする場合登録免許税がかかります。
資本金額×0.7%の金額となります。
しかし、最低金額は15万円になっています。
たとえば、資本金額が3,000万円の場合の登録免許税は21万円となります。しかし資本金額が1,000万円の場合は7万円で、15万円未満となるため登録免許税は1件15万円となります。
株式会社以外の法人形態
会社形態の法人としては、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社がありますが中心となるのは株式会社です。
その他の法人では次のようなものがあります。
一般社団法人
一般社団法人は、一定の目的のもとに結合した人の集団で法人となったものです。
先述した行政改革により成立した法人格で、行う事業の公益性の有無にかかわらず、目的や事業内容については自由で法律上の制限がありません。
公益目的(不特定多数の人の利益に寄与すること)や、共益目的(特定の構成員・会員等の利益を図ること)、私益目的(特定個人・団体の利益を追求すること)など、どのような目的で事業を行うことも法律に違反せず公序良俗に反しない限り自由です。
設立では行政諸官庁の許認可は不要だ
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」において、法人の組織や運営に関する事項が定められています。
一般社団法人に向いた業務の分野としては例えば専門人材をそろえた各種のサービス事業などが考えられます。
例えば、ビジネスコンサルタントをそろえたコンサルタント事業、ITのセキュリティ分野の技術者集団によるITセキュリティ事業、耐震建築の複数の設計者による設計団体などです。多様なものが可能でしょう。
一般社団法人名を付けることで公益的・専門的なイメージを持たれる点がプラスに働きます。それだけに責任を持った運営も必要です。
一般財団法人
財団法人とは、一定の目的のために提供された財産を運用するためその財産を基礎として設立される法人です。
一般財団法人も一般社団法人と同様、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(一般社団・財団法人法)」に基づいて一定の要件を満たしていれば、事業目的に公益性がなくても、主務官庁の許可はなくても、登記によって任意に設立できる法人です。
株式会社と同様の手続きだな
一般財団法人の特殊性としては、300万円以上の財産拠出が必要となる点があります。
機関は理事、監事、評議員から構成されます。原則として株式会社と同様に、全ての事業が課税対象となります。
設立者に剰余金等の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは無効です。
一般財団法人に向いた業務では資金や資産の運用に関するものや寄付に関するもの、投資に関するものなどが考えられます。
クラウドファンディング分野などがあります。
社会貢献型の分野では、お金や土地などの財産があって社会貢献したいが適当な対象団体や対象者が分からない人に、対象者をマッチングさせ一定の進行管理をするなどの業務を代行して行うなどがあります。
また、高齢で後継者がいない人の遺産の寄付と管理などです。
特定非営利活動法人
特定非営利活動促進法に定められた、保健、医療や社会教育、まちづくり等の20種類の活動分野に該当する活動であって、不特定多数の者の利益の増進に寄与することを目的とするものです。
特定非営利活動法人(NPO法人)を設立するためには、特定非営利活動を行うことが主目的であること等について都道府県又は政令指定都市の認証を受けることが必要です。
認証の主な要件は、活動内容に関するもので特定非営利活動に関する主目的(宗教、政治活動を主たる目的としてはいけないなど)の適合性などです。
特定非営利活動法人でも給料を払い報酬を得ることはできます。
売り上げを大きくすることもできるな
経理などのマネージメントをどうするか?
小企業ではまず管理面では、経理が基本となります。
1人でも人を採用すれば社会保険の手続きが必要になります。
雇用保険や労災保険だね!
5人以上になれば健康保険と厚生年金への加入が必要になってきます。
この保険料の半額は会社負担となります。
経理、総務、人事を含めて管理関係で1人は担当者が必要になります。もちろん役員でも社長がやっても構いませんが業務には一定の時間がかかります。
一定の売り上げ規模になれば税務事務所との顧問契約が必要となってくる可能性があります。
まとめ
法人化は社員を採用する時期には必ず必要になってくるのではないでしょうか?
採用される人間からは、個人商店では不安でしょう。
また、法人化の取引では個人事業ではまともに相手にされない場合があります。
ネットショップなどの個人顧客を相手にするのではなく、法人を相手にする事業では法人化は必須ではないでしょうか。
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