起業は人生の最大テーマの1つです。
サラリーマンであれば給料をもらう側ですが、経営者となれば給料を払う側になります。
もちろん1人起業であれば自分で自分の給料を払う形になります。
起業はこのように大きな価値観の転換を伴うものです。
それだけに生き方を変えていくことにもなるんだ
そして、大きな生きがいを得ていくことができます。
起業は思いつきや、あこがれでできるものではなく、起業の動機、目的を明確にしておく必要があります。
あなたが起業したいと思った動機、キッカケは何ですか?
もともと独立心が強くサラリーマンであることに拒否感がある人もいると思います。
親や家族が自分で商売をしている人や、周囲の環境で影響を受け自分もビジネスを興そうと思う人もいるでしょう。
また、サラリ-マンを続けていくうちにキャリアを積み、人脈を得てビジネスに自信を持ち、生きがい・やりがいを求めて起業に賭ける人もいるでしょう。
具体的な起業のキッカケがある人もいるでしょう。
「人が思いつかないような良いアイデアWEBカメラを思いついた」、「画期的な商品開発に成功した」というならば、人に儲けさせるよりも自分で儲けたいと思うでしょう。
また、知人から具体的なビジネスの構想を聞かされ一緒にやろうと誘われ、パートナーとして経営に参画するという思いもよらずに経営者になるケースもあるでしょう。
あなたの場合は、起業したいと思った動機、キッカケは何でしょうか?
起業の動機は起業の壁に当たった時、あなたが原点に返り、迷いを吹っ切り、立ち戻るために重要なものだ
「やりたいこと」「できること」「やらなければならないこと」とのマッチング
起業動機を思い起こしながら、自分の起業の方向性を、「やりたいこと」「できること」「やらなければならないこと」の中で整理してみましょう。
「やりたいこと」「できること」「やらなければならないこと」は英語で、will- can- must と言われているものです。
サラリーマンなどビジネス経験のある人では、「できること」から考えるのが現実性を高めます。
Aさんはサラリーマンとしてのキャリアが人事部の仕事でしたので、そこでの経験を活かした教育研修事業を自分の思ったプログラムでやりたいというのが起業の動機になりました。
今までは専門団体に外注してきた分野でした。逆の立場にはなりますが、内容や段取りはわかっているので企画の具体化は早く進みました。
キャリアのある人は一般的には「できること」を軸に起業テーマを絞り込みますが、サラリーマンの場合は、業務での仕事が起業に直結しない場合もあります。
例えば、社内の管理系の業務です。人事の給与計算だけをやってきた、総務の社内文書の管理だけが仕事だった、工場の製品検査が業務だった、というだけでは転職の職務経歴にはなりますが、起業の武器にするには弱すぎます。
このようなキャリアを起業の武器にするには、他の企業のアウトソーシングのニーズとマッチングさせるマーケッティングや営業が不可欠です。
そのためには、社内だけでなく外部の人脈・ネットワークが必要になってくるでしょう。
ビジネスでの経験が乏しくても「できること」は多様に存在します。
例えば、主婦が家事代行業を起業することは可能です。主婦が日常的に行っている家事で、清掃、料理、洗濯などを経験しています。
家事代行業は主婦の目線で新事業を開発した分野です。近年では整理収納業務が主婦の経験からビジネス化に成功しました。
「できること」では単に自動車の運転ができるだけでも、人手不足の現状ではデリバリー業務の個人独立も可能です。
起業を敷居の高いものと考えるのではなく、発想次第で「できること」のレベルが高くなくても可能だということを知っておこう
「できること」とキャリアを活かした分野で起業する
キャリアを活かして起業したいという動機は、オーソドックスな起業へのモチベーションです。
キャリアを活かして起業するということは、起業しようとする業界や業態、ビジネス分野が決まっているということです。
業界の状況やビジネスの方法、営業方法、仕入先などの情報を持っているということでしょう。
チェックするポイントは、それぞれのビジネスの決め手になる部分、例えば営業で見込み客となる顧客層、顧客リストを持っているか、人脈があるかなどの点や、目玉商品の仕入れ先の目途、店舗であれば資金、ITなどの分野であればコアとなる技術開発人材などの実践的な部分でしょう。
キャリアがある分野は業界などの人脈もあると思うから、立ち上がりが速いという強みがあるな
Mさんは大学を出て大手ハウスメーカーに勤め営業を経験しました。分野は戸建て住宅の営業から始まり分譲住宅の営業までを経験しました。
その後不動産の賃貸営業の会社の実務責任者として転職し、商業ビルの賃貸分野の仕事も経験し仕事の幅を広げました。
その経験を活かして40代で独立起業しました。東京の郊外でアパマンや小規模商業ビルの賃貸営業と管理の分野です。
オーソドックスにキャリアを活かした起業です。
注意する点は、大きな組織に属していた時のキャリアです。
大企業のビジネスマンの実績は、多くは企業の看板効果で生まれているものです。看板がなくなったらただの人です。
ただの人や無名個人企業を相手にしてもらえるかという点です。
また、個人で起業する脱サラの場合、少資金で起こせるビジネスをする必要があります。
あなたのキャリアのある分野は少資金で起業できる分野でしょうか?
「やらなければならないこと」に気づいたキッカケで起業する
「やらなければならないこと」というのは言わば使命感です。
自分がやらなければ他の誰がやる?という問いから生まれるものです。
日本で初めて病児保育を始めたフローレンスの駒崎さんという人がいます。
病気の子どもを預かるのは当時誰も行わず、働く母親は子供が病気になれば仕事を休まなければならない状況でした。
もちろん今でも同様の状況はありますが、病気の子どもを預かってくれるところが増えてきました。
風穴を開けた意義が深いね!
このように困っている人がいるのに、行政も支援してくれず、民間ではビジネス的に成り立ちそうにない分野が多数あります。「やらなければならないこと」という視点はニュービジネス開発の原点にもなってきました。
警察は事件が起きないと民間人を守ってくれないことから、民間施設、民間人の警備のために警備保障という新業態が生まれました。
救急車は寝たきりの高齢者を救急でない以上運んでくれないことから、民間救急搬送という業態が生まれました。
従来のタクシー会社では車いすの利用者を運べないため、介護タクシーという業態が生まれました。
現代社会の人々が困っている問題から社会的に手薄なサービスを考えてみれば起業のテーマも生まれてくるのではないでしょうか?
例えば、子どもの小学校への登下校の安全サポートの課題があります。
公立学校の施設や周辺では、警備員の配置や地方自治体の委託によりシルバー人材センターによる交通安全管理員の配置があります。
しかし、個人レベルでは下校が夜遅くなる学習塾の問題があります。女の子では夜遅い帰宅では痴漢の被害も発生します。
これら個人のサポートを一部の団体が有料サービスで行い始めています。
障害児の登下校サポートはすでにありますが、やや地域的な有償ボランティア的なレベルです。
人々が困っている問題は身の回りに多数あります。
例えば、離れた実家に住んでいた親が1人になり安否確認が心配だ、親がなくなり地方の実家を相続したが売れる見込みも立たず空き家になり管理面で近隣のクレームがある、子どもが40代になって引きこもり状況だが解決のため支援を受けたいが誰が助けてくれるかわからない、など悩んでいます。
大きな利益を売るためではなく、適正な利益で事業が成り立つ方法はないかの方向性がでれば起業のテーマになります。
まとめ
「やりたいこと」「できること」「やらなければならないこと」のうち、「できること」「やらなければならないこと」についてはこのPART1で触れました。
「やりたいこと」についてはPART2で触れます。
「やらなければならないこと」は自分自身の困った体験からの発想が糸口になります。
自分自身が困った体験で、行政もサポートしてくれず、民間の適当なサービスもなかったようなことはないでしょうか?
また、こんなサービスがあったら良いのにと思ったことはないでしょうか?
一見ビジネスになりそうもない、利益になりそうもないことは、ビジネスの盲点です。盲点には隠れたチャンスがあります。
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