現在は人手不足で学生の就職活動も売り手市場になっていて内定も決まりやすい状況です。
しかし、就職とは決まればよい、決まれば終わりというものではありません。それは職業人生の始まりでしかありません。
自分のやりたいことや自分と仕事の適性との一致度はどの程度あるか、自分を活かせる場所か、長く勤めることのできる場所かを判断したいものです。
アルバイトで勤めたことのある仕事が自分に合っていると思えたならば、就職に至るプロセスとして意味があります。
また、企業によっては、アルバイト経験者からしか正社員を採用しない、アルバイト経験を重視するという場合もあります。
Contents
1.インターンシップとアルバイト
(1) インターンシップとは
現在学生の就職活動の方法として、企業からも活発に活用されているのがインターンシップです。
インターンシップ?
インターンシップは体験入社制度のことだ
インターンシップとはいわば体験入社制度です。しかし、インターンシップにもいろいろあり、単に就職活動期より先だって、企業が学生と接触するための会社説明会程度のものもあり、企業広報を兼ねて会社見学の意図で行うものもあります。
また、インターンシップを直接採用とは結び付けないで行う企業もあります。
逆に一定期間現場で業務を体験してもらう意図で行われ、3カ月以上の長期間行うものや、採用活動に直結させる意図で行うものまであります。
インターンシップは基本的には無給で行われるのが一般的です。
学生に人気のある職場のシティホテルでは、6か月間の長期にわたり無給でインターンシップを行う企業もあります。ホテルマンとしての基本を、身体を通して学ぶことができ学生に人気があります。
(2) インターンシップとアルバイトの相違点
①給与
インターンシップは無給、アルバイトは有給が原則です。
アルバイトは雇用契約になりインターンシップは労働としては扱われていないからです。インターンシップは研修に近い位置づけです。
②期間
インターンシップは1日から短期間のものが中心です。
中には、3カ月以上の長期にわたるものがあり、これはアルバイトと同様の意味がある場合があります。長期のインターンシップは社員スタッフと一緒に働くことがあり、アルバイトと同様に現場の仕事を体験できます。
また、一部ではアルバイトに準ずる位置づけで有給扱いにしています。
2.学生にとってのアルバイト選択の重要性
①目先と手軽さでアルバイトを選んでいることが多い
多くの学生は自分に取ってやりやすい、身近なコンビニや小売業店舗や飲食店舗のアルバイトをしています。
確かに、アルバイトの時間が通学に影響のない夜間、休日などでできる仕事だからです。フルタイムでなくても構わず、働く場所が近くにあり通勤に便利だからです。人手不足で給与も改善されてきて収入上のメリットもあります。
しかし、学生にとってアルバイト先の飲食業の居酒屋やファーストフード店は、就職では逆に人気がありません。
正社員がほとんどおらず社員1人店長で、あとはアルバイトとパートで人員構成されている現場を見ます。また、店長が長時間労働で、休日もろくにとれない現実も見ます。
そのため就職するなら外食産業は嫌だという実感を持つのです。コンビニのアルバイトもコンビニの経営はフランチャイズ制で、オーナーは自営業の個人である現実を知り、アルバイトに穴が開けばオーナーが穴埋めをせざるをえず休めない現実を知ります。
これらの仕事はアルバイトではあっても就職先としては考えられないのです。
②自分のやりたい仕事や適職を見つけるアルバイト選択
学生は目先の働きやすさや、求人の多さ、時給の高さからだけでアルバイトを選ぶのではなく、将来の自分の進路や適職を見つけることも視点に入れるべきです。
自分の関心のある分野や、やりたい仕事のアルバイトを体験する意味は、給料以上に大切なことではないでしょうか。
長期的な視点を持つことが大事ということだ
3.なぜアルバイト体験が就職に有利になるのか?
(1) 学生にとってのポイント
就職活動で一番重要なポイントは志望動機です。
「就職でなぜ当社を選んだのですか?」との企業の問いはエントリーシートでの記述と面接で必ず聞かれます。そこが明確であり、説得力を持つ人が採用される確率が高くなります。仕事のやる気の証明になります。
「業務に興味を持った」、「自分のやりたいことがある」、「自分に向いている」、「職場環境が良い」、「先輩社員が良い」などの体験を話すことができます。その仕事のアルバイトをやったことのない人に比べて、体験に基づく具体性のある説明ができます。
(2) 企業にとってのポイント
①基礎的な能力・適性、人柄が判断できる
採用する企業にとっては1回や2回の面接で人物の判断ができるとは思っていません。ただ現実の採用方法として致し方ないからです。
長期のアルバイトなどで実際の仕事ぶりや人物を見ることができることにより、コミュニケーション力、その他の基礎的な能力、業務との適性、人柄を判断できます。
②即戦力に準ずることが期待できる
長期のアルバイト経験で、社員に準ずる仕事の基礎能力が部分的でも身に付きます。企業はいわばOJT研修(現場研修)をやってきたようなもので、一部の仕事では即戦力が期待できます。
例えば、長期の書店アルバイトをしていて、接客、レジ、品出し、陳列などを経験していれば即戦力になります。
③現場の社員が、一緒に働きたい人物と判断すれば採用される確率が高い
アルバイトから社員採用に結び付くポイントは、仕事を指示し管理する社員と一緒に仕事ができるかが重要です。
社員との接触が多ければ自分を知ってもらう機会が多く、社員が採用試験で人事から意見を求められたときにアルバイトの人物評価をしますので、社員に気に入ってもらっていれば高評価を得る可能性が高くなります。積極推薦してくれる場合もあるでしょう。
逆に大量のアルバイトがいて社員があまりアルバイトの仕事を見ていない、社員と接触の機会が少ないなどの現場では、社員が一緒に働きたい人物を判断するのは難しくなります。
きちんと将来を見据えた上でのアルバイトは就職の時に有利になるってことだね!
4.アルバイトから社員採用に結びつく可能性の高い業種
アルバイトから社員採用に結びつく可能性の高い業種にはどのようなものがあるのでしょうか?
ポイントとなるのは、
- 志望動機が重要な業種・職種(本人のモチベーションが強い)
- 人間関係力
- 社員となる候補者がその仕事が好きであるか(該当の仕事が好きであることが継続性で重要であると考えられる業種)
- 適性(忍耐力、努力の継続性、手先の器用さ、身体の強さ、視力、反射神経など)
などです。
業種や職種では次のようなものがあります。
(1) アパレル関係
アパレルは学生の就職でも人気のある業種です。
専門のデザイン以外のコースでは販売員などからスタートしマネージメント職に向かうのが基本です。アパレルは接客などで顧客へのアドバイス力やコーディネート力があると良くセンスが必要です。また接客でのコミュニケーションや人柄も重要です。
アルバイトで求職者の向き不向きのわかる業種のため、就職に結びつきやすいアルバイトです。
(2) スポーツ関係
スポーツ関係は人脈の生きる分野です。大学時代の運動部の先輩のいる企業への縁故での就職依頼などもあるでしょう。
また、同好会や趣味レベルでも特定のスポーツをやっていた経験は、ユーザーへのアドバイス力が期待でき、スポーツショップの販売員などの仕事に向いています。
また、スポーツの分野によりある程度のレベルに達していれば、インストラクター職での社員採用に結び付きます。市場のすそ野のある子どもの分野のあるスポーツでは求人数があります。スイミング、体操などです。
その他のスポーツ関係の業種では、スポーツ用具メーカー、スポーツ施設(プロが使うサッカーや野球場、公的スポーツ施設など)、プロスポーツフロント職(プロ野球球団、プロサッカークラブなど)などがあります。
一番人気は安定性からスポーツ用具メーカーでしょう。
(3) 音楽関係
音楽関係も人脈重視の業界体質があります。
またレコードショップのタワーレコードなどはアルバイト職からしか社員採用を行わない傾向もあります。
(4) ホテル関係、レストラン関係
ホテルやレストランのサービスは身体で覚える部分が多い仕事です。フットワークが良いことも重要です。
また、顧客への接客など品位のあるマナーなども要求されます。これらが身体で身につき自然に現れれば即戦力性がともない、アルバイト経験が活きる分野です。
(5) スキルがともなう職種
IT関係などではスキルは即戦力性ともないます。アルバイトでもプログラミングやシステム設計、Web関連技術分野・デザイン分野、デバッグなどの仕事は体験できます。業務からスキルを学ぶこともできキャリアになり評価されます。
アナログ的な技術でも、大手スーパーの自転車売り場で修理技術を身に付けることもできます。また自転車修理に関する技能資格もあり資格取得で技術力の証明もでき同様の業務分野を持つスーパーでの就職では役に立つでしょう。
まとめ
その他多くの業種、職種でアルバイトでも長期にやれば基礎的な技能が身に付きますので、就職に結びつく可能性が高くなると言えるでしょう。
手に職つけられるアルバイトはいいな!
求職者にとっても自分がやりたい仕事であるかどうか判断できますので、ミスマッチが防げる点に大きな意味があります。
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