分散投資を基本としたETFは比較的リスクの低い商品です。その上、低コストで運用のプロに資産運用をお任せできる初心者でも気軽に始められる投資です。
しかし、ETFはリスクが皆無というわけではありません。投資である以上、預貯金とは違って大なり小なりリスクが存在します。
ただし、リスクがあるから儲かるチャンスもあるのです。この記事では、ETFの3つのリスクと、リスクをチャンスに変える考え方について紹介します。
Contents
ETFの3つのリスク
ETFの代表的なリスクには、次の3種類があります。それぞれの意味や特徴について、項目別に解説していきましょう。
- 価格変動リスク
- 流動性リスク
- 価格乖離リスク
①価格変動リスク
ETFも株式などと同じように、価格が上がったり下がったりします。
これを「価格変動リスク」と言います。
TOPIXや日経平均株価に連動するETFの場合、基本的にはこれらの指数の上下と同じような動きになります。
ETFは元本保証型の商品ではないため、投資した資産が減ってしまうこともあることは理解しておきましょう。
特に、レバレッジ型ETFやインバース型ETFの場合、指数の約2倍の値動きとなるなど、TOPIXや日経平均株価よりも大きく変動するように設計されていることがあります。
これらの商品では価格変動リスクが大きくなることにも留意してください。
②流動性リスク
ETFは株式と同様、取引所に上場している商品なので、取引所が開いている時間帯(東京証券取引所なら9時~11時半、12時半~15時)はいつでも売買することができます。
ただし、買いたいときに買い、売りたいときに売るためには、流動性が高いことが前提となります。
流動性とは、売買のしやすさのこと。
出来高や売買代金が多い銘柄ほど「流動性が高い」と言われます。流動性が低い銘柄の場合、買いたいときに売り手が見つからず、売りたいときに買い手が見つからないといった事態になるかもしれません。
そのため、流動性が低い銘柄はあまりおすすめできません。
上記は投資商品全般に当てはまることですが、ETFの場合も流動性リスクに注意して銘柄選びをしましょう。
例えば、同じTOPIXに連動するETFであっても、売買高や売買代金は銘柄によって異なります。
似たようなETFがある場合は、出来高や売買代金を比較し、流動性が高いETFを選ぶのが良いと考えられます。
③価格乖離リスク
ETFはTOPIXや日経平均株価に連動する投資商品ですが、さまざまな理由があって、これらの指数を価格が乖離してしまうことがあります。
ETFの価格と指数が連動せず、離れてしまうことを「価格乖離リスク」と呼びます。
価格乖離の要因として分かりやすいのが、ETFの信託報酬などのコストです。例えば、TOPIXに連動するETFを保有している場合を考えてみましょう。
TOPIXが横ばいであれば、ETFの価格も原理的には横ばいとなると考えられます。
しかし、ETFの保有にかかる信託報酬といったコストが差し引かれるため、ETFの価格は横ばいにはならず、下がってしまうのです。
指数に連動すると言っても、完全に連動させることはできず、ETFの価格と指標が乖離してしまうことはあり得ます。
1つのリスクとして認識した上で、ETFへの投資を行いましょう。
ETFでリスクをチャンスに変える!
「リスク」と聞くと、何となく「避けるべきもの」「損失の原因」という印象はありませんか?
実は、リスクがあるからリターンを得られるもので、リスクの無い投資というものは存在しません。預貯金との大きな違いでもあります。
リスクはコントロールして、適切なリターンを取りに行くのが賢い投資のやり方。
次の3つのポイントを押さえ、ETFで利益を出せる投資を行いましょう。
- ETFを使うことで避けられるリスク
- 価格変動リスクは「危険」とは異なる
- 流動性リスクはコントロール可能
①ETFを使うことで避けられるリスク
前の項目ではETFの代表的なリスク3つを紹介しました。
しかし一般的な投資の場合、この3つ以外にもリスクがあるのです。
例えば、投資先の集中リスク、不正会計リスク、倒産リスクなど。
大企業であっても、突然に粉飾決算が発覚したり倒産したりして、株価が急落した事例は枚挙に暇がありません。
ETFの場合、このような個別の企業に生じるリスクは軽減されている商品が多いです。
テーマ別などで銘柄を絞ったETFの場合は投資先が集中しているので、個別企業のリスクを避けられませんが、総合的な株価指数に連動するETFは別。
TOPIXや日経平均株価に連動するETFの場合、個別銘柄のリスクは薄まるので、投資先の集中リスク、不正会計リスク、倒産リスクなどを避けることができるのです。
②価格変動リスクは「危険」とは異なる
リスクの一般的な日本語訳は「危険」のため、リスクに対して全面的に悪いイメージを抱いている人も多いのではないでしょうか。
投資における「リスク」には2種類の意味があり、「危険」という意味と、単なる「変動」という2つがあるのです。
前の項目で紹介した価格変動リスクは、ETFの価格が上がったり下がったりすることです。
価格が動くということは、損をする可能性もある一方で、得をする可能性もある、ということ。
むしろ価格変動リスクはチャンスと捉えるべきリスクであって、単なる「危険」ではないのです。
リスクの2種類の意味で言うと、「変動」の方に該当します。
「価格変動リスクが大きい」銘柄は値動きが大きいことを指し、「価格変動リスクが小さい」銘柄は値動きが小さいことを指します。
ハイリスク・ハイリターンの銘柄で大きな利益を狙うか、ローリスク・ローリターンの銘柄でコツコツ利益を積み上げるかの違いであり、どちらを選ぶかは投資家の好みによるでしょう。
価格変動リスクは儲けるチャンスの大きさにも関わるため、単純に「避けるべきリスク」とは言えないことに注意しましょう。
価格が変動するからこそ、投資でお金を増やすことができるのです。
③流動性リスクはコントロール可能
流動性リスクが高い銘柄の特徴は、出来高や売買代金が小さいことでした。
流動性リスクを抑えるためには、出来高や売買代金が大きいETFを選んで投資をすれば良い、ということになります。
似たようなETFでも、出来高や売買代金の大きさが全く異なる銘柄は多数存在します。
例えば、日経平均株価に連動するETFは複数銘柄が上場しています。商品の内容はよく似ているものの、必ずしも出来高・売買代金まで同規模ではありません。
これらの違いはETFができてから何年経っているかなどの違いによって生じます。
ETFを選ぶ条件は数多くありますが、出来高や売買代金についても調べてから投資をすると、流動性リスクをコントロールできるのではないでしょうか。
まとめ
預貯金とは異なり、ETFも投資である以上は大なり小なりリスクがつきまといます。
価格変動リスク、流動性リスク、価格乖離リスクの3種類のリスクがあることを理解した上で投資を行いましょう。
ただし、リスクがあるからこそチャンスもあります。そもそも、「価格変動リスク」があるからこそ、投資で儲けを得ることができるのです。
流動性リスクのように、投資家がETFを選ぶ段階で抑制できるリスクもあります。また、ETFを使うことで、他の投資について回るリスクを避けることもできるのです。
ETFのリスクを理解し、上手く付き合うことで資産を増やすことはできます。リターンだけを見るのではなく、リスクも把握して投資を行いましょう。
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