一口にETFと言っても、さまざまな種類があるのはご存知のとおりでしょう。
ETFの分類方法の一つに、「国内ETF」「海外ETF」という分け方があります。
「国内ETF」とは、国内の証券取引所に上場しているETFのことです。
一方、「海外ETF」とは、海外の証券取引所に上場しているETFのこと。
海外の証券取引所とは、例えばニューヨーク証券取引所などを指しています。
この記事では国内ETFと海外ETFの違いや、メリット・デメリットについて解説します。
合わせて、あまり知られていない海外ETFの種類についても見ていきましょう。
Contents
国内ETFと海外ETFの違い
まずは国内ETFと海外ETFの主な違いを見ていきます。次の3点について解説しましょう。
- 市場規模の違い
- 投資対象の違い
- 為替リスクの違い
①市場規模の違い
日銀がETFの買い入れに積極的であることなどを背景に、日本でもETFへの投資は少しずつ一般的になってきています。
日本のETF市場の規模は約20兆円となっています。
しかし、海外の市場を見ると日本のETF市場はまだまだです。
グローバル全体のETF市場は450兆円にも上り、成長率は年平均20%を超えています。
中でも、ETF発祥の国であるアメリカにおけるETFの売買代金は、日本のそれの400倍に上るというデータもあるほど。
市場規模が大きい方が流動性が高いので、売買の自由度が高くなります。
流動性とは、買いたいときに売り手を見つけやすいか、また売りたいときに買い手を見つけやすいか、ということを指す用語です。
日本の場合はETFを取引する人が比較的少ないので、国内ETFは海外ETFに比べると流動性が低いと言えるでしょう。
②投資対象の違い
国内ETFでも海外の株価指数などに連動するETFが上場しているため、全世界に分散投資することは可能です。
しかし、日経平均株価やTOPIXに連動する国内ETFに比べると、種類が少なく流動性も低いです。
海外ETFの場合、特に米国では多様なETFが取り引きされています。
米国の株価指数に連動するETFや、新興国マーケットの指数に連動するETF、さらに全世界の市場に投資するETFなど、さまざまな種類があります。
国内ETFだけで運用しているとリスクが国内のみに集中してしまいます。
海外にも投資範囲を広げてリスクを分散させるなら、海外ETFという選択肢も考えられるでしょう。
③為替リスクの違い
国内ETFはもちろん円で売買できる商品です。
しかし、海外ETFは多くの場合、現地の通貨で購入し、資産の評価も外貨です。国内ETFとは異なり、為替リスクがあることに注意しましょう。
例えば円安ドル高のときに円をドルに両替して米国ETFを買った場合を考えてみてください。その後円高ドル安になったら、ETFの利益よりも為替へによる損失の方が大きくなってしまうかもしれません。
逆にETFの値上がりだけでなく、為替変動による利益も積み上がって、大きな利益となる可能性もあります。
海外ETFを投資する場合、為替リスクがあることを覚えておきましょう。
国内ETFと海外ETFの比較
上述した国内ETFと海外ETFの違いを踏まえ、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
国内ETF・海外ETFはそれぞれどんな人に向いているかもまとめました。
国内ETFのメリット・デメリット
国内ETFのメリットは、なんといっても売買のしやすさでしょう。
日本円で売買できるだけでなく、売買時の手数料体系も安いことが多いです。
一方で、国内ETFのデメリットは、日本国内の指数に連動するETFが主であることです。
海外の指数に連動するETFは非常に少ないため、国内ETFでは投資対象が限られてしまいます。分散投資をしようにも、国内の投資に資産が集中してしまいます。
海外ETFのメリット・デメリット
海外ETFのメリットは、商品が多岐に渡っているためETFによる分散投資がしやすいことでしょう。
外国株式、外国債券、海外不動産などへの国際的な分散投資が可能になります。
一方、海外ETFのデメリットは為替リスクがあることです。
ETFの価格が上がっていたとしても、為替によって損失を被っていた場合、値上がり益よりも為替による損が大きくなってしまう可能性があります。
また、海外ETFを取り扱っている証券会社は多くなく、扱っている証券会社でも売買手数料が高いことが多いです。
デイトレードのように頻繁な売買を繰り返す投資には、海外ETFは向きません。これも海外ETFのデメリットとして挙げられます。
国内ETFと海外ETFが向いている人は?
国内ETFが向いているのは、次のような投資家です。
- 値上がり益が出たら早く利確したいので、手数料は最安水準が良い
- 資金が少ないため、投資銘柄を絞りたい
- ETFは国内の指数に連動する銘柄だけで十分
一方、海外ETFが向いているのは、次のような投資家です。
- 資金が多いので、国際的な分散投資をしたい
- ドル建ての資産をある程度持っている
- 売買の回転はあまり頻繁に行わないので、手数料が気にならない
それぞれ正反対の特徴なので、どちらが向いているか、また両方合わせて投資をするか、考えてみてください。
海外ETFの種類
海外ETFにはさまざまな種類がありますが、中でも海外ETFを初めて知った初心者にも分かりやすい種類の商品を紹介します。
投資先を国で絞っているETFなら、イメージが湧きやすいのではないでしょうか。
- 全世界に投資するETF
- 米国に投資するETF
- 新興国に投資するETF
①全世界に投資するETF
世界中の市場に投資をしているETFも、海外ETFなら豊富に取り引きされています。
例えば、バンガード・トータル・ワールド・ストックETFは世界47ヶ国の株式に投資している海外ETFです。
全世界に投資するETFは、一つ持っているだけで世界経済への分散投資が可能になるので、投資家にも人気の商品です。
②米国に投資するETF
米国の株価指数に連動するETFも多数あります。
ETFで最もよく使われるのはS&P500という指数で、米国経済を代表する指数でです。
米国は日本よりも経済成長率が高く、また人口増加によって今後も経済成長が維持される見込みとなっています。
これから始めて海外に投資する人は、米国ETFを検討してみてはいかがでしょうか。
③新興国に投資するETF
新興国市場といえば、ブラジル、ロシア、インド、中国を総称したBRICsや、アジア、アフリカの国々でしょう。
成長が著しいこれらの国々に投資したいなら、ETFがおすすめです。
新興国市場に投資するETFも、国内より海外の方が充実しています。
中国のみ、インドのみ、といった国単位での投資もできますし、株式だけでなく債券や不動産への投資を選ぶこともできるのです。
まとめ
国内ETFと海外ETFの違いについて解説しました。
いずれもETFですが、上場している取引所が国内であるか、海外であるかが異なります。
特徴にも違いがあり、主に市場規模、投資対象、為替リスクの3点が異なることを説明しました。
国内ETF、海外ETFそれぞれのメリット・デメリットも掲載したので、どちらが自分に向いているか検討してみてください。
海外ETFはあまり知られていませんが、投資先の多様さはピカイチです。
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