人にはその人らしいファッションのスタイルがあるように、FXも投資家一人ひとりに合った投資スタイルがあります。
FXの買い方、売り方の基本を身につけた上で、自分の投資スタイルは「これとこれ」と決めて、それをもとに日々の「投資作戦」を考えるようにしてください。
何があっても、人から何を言われても、自分なりの投資スタイルの「芯」がぶれなければ、結果はついてきます。自分らしくない無理をすると、後悔します。
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注文方法は「成行」「指値」「逆指値」がある
FXで最も重要な行為は、FX業者を通じて「注文」を出すことです。
ある通貨ペアの最初の注文を「エントリー」と言いますが、注文が良ければ勝ち(利益を得られる)、注文が悪ければ負ける(損失をこうむる)と言っても、過言ではありません。
その場、その場で最善の注文ができるように投資家は勉強し、経験を積みます。
注文が悪くても勝てることはありますが、それはただ運がよかっただけです。勝ちに不思議の勝ちありです。
その注文の方法には、大きく分けて3つあります。これはFX投資の基本中の基本なので、違いをしっかり覚えておいてください。
成行
「成行」注文は、交換レートを指定せず、現在のレートで取引を成立させる方法です。
何が何でも今すぐ取引を成立させたい、その通貨を手に入れたい、売ってしまいたい場合に使います。
それでも取引がすぐに成立せず待たされることもあります。交換レートを指定しないので、実際にレートがいくらだったかは、取引が成立した後にならないとわかりません。
自分の想定とはかけ離れた交換レートで取引が成立してしまうこともありますが、それは注文方法に「成行」を選択したら覚悟しなければならないことです。そんな事態を「すべる(スリッページ)」と言います。
指値
「指値」注文は最初から希望する交換レートを指定して注文します。
たとえば「USD/JPY」の通貨ペアで「1ドル=110円になったら買う」「1ドル=111円になったら売る」というように、あらかじめ条件をつけます。
その場合、交換レートが1ドル=110円になれば買い注文が成立し、1ドル=111円になれば売り注文が成立します。
当たり前のことですが、希望する条件にならなければ指値の注文は成立しません。そのため、自分の想定とかけ離れた交換レートで取引が成立してしまうようなことは起こりません。
しかし、値動きが激しいところへピンポイントで交換レートを指定すると取引が成立しにくい上に、為替の取引には「成行優先のルール」があり、同時に注文が入ると「レートはいくらでもいい」という成行注文のほうが優先されて、指値注文は後回しにされます。
指値注文を出すと取引が成立しにくいことは、覚悟しておいてください。
逆指値
「逆指値」注文は、希望しない交換レートを指定して注文することです。
「希望しないレート」とは何かというと、それ以上の損失の拡大を防ぐための「損切りポイントの設定」つまり「最後の防衛線」です。
指値が「取引が成立したらうれしいレート」を指定するのに対し、逆指値は「やむを得ず取引を成立させるレート」を指定します。
たとえが悪いかもしれませんが、大学受験の第一志望校が「指値」、すべり止めが「逆指値」のようなものです。
合格したらうれしい第一志望校に落ちても、すべり止めに合格したら、それでも大学受験の勉強は終わります。浪人したくなければ、やむを得ず、すべり止めの大学に入学します。
たとえば「USD/JPY」の通貨ペアで1ドル=110円の買い注文で1000ドルの取引が成立したとします。
次はそれを売って利益を確定する番ですが、ここで「1ドル=111円になったら売る」指値売り注文と、「1ドル=109円になったら売る」逆指値売り注文を、同時に出したりします。
指値の111円は「取引が成立したらうれしいレート」ですが、逆指値の109円は「損失が出るので取引が成立してもうれしくはないが、それ以上の損失を出さないためには、ここで売るのはやむを得ないレート」です。
もし自分の予想がはずれても、ダメージを小さく抑えるために逆指値注文を出します。
逆指値は大きな危険を回避するための、上級者でも中級者も初級者でも大事な「リスク管理」に有効な方法なので、最初からきちんと使えるようになってください。
なお、FXには「強制ロスカット」と言って、取引口座に残している金額が一定の水準以下になると強制的に決済(損切り)されてしまうしくみがあります。
失敗したときにそれ以上の損失の拡大を防ぎ、投資家が大きな負債を抱えてしまわないようにあるものですが、たとえ初心者でも投資家なら、そうなる前に逆指値注文などでリスクをきちんと管理できることが求められます。
「順張り」でいくか? 「逆張り」でいくか?
「成行」「指値」「逆指値」の注文方法を理解しているという前提で、次はFX投資の「スタイル」について解説します。
最もポピュラーな2つのスタイルが「順張り投資」と「逆張り投資」です。
「順張り」は、交換レートが上昇しているときに買い、下落しているときに売るというスタイルです。相場の流れ(トレンド)にそのまま乗っていくので順張りと言います。
「逆張り」は、相場の流れ(トレンド)にあえて逆らって、交換レートが上昇しているときに売り、下落しているときに買うというスタイルです。
たとえば「USD/JPY」の通貨ペアで、交換レートがドル高円安方向に向かっていたとします。
「このドル高円安方向の流れ(トレンド)は当分続くだろう」と判断してドル買いから入るのは順張りで、「それそろ流れ(トレンド)が変わってドル安円高の方向に向かうだろう」と判断してドル売りから入るのは逆張りです。
どちらが正解だったかは、時間が経過しないとわかりません。
過去を振り返ると、「USD/JPY」の交換レートの2012年以降のトレンド(いわゆる「アベノミクス相場」)はおおむねドル高円安方向でした。2012年には一時1ドル=80円を割っていましたが、2015年には一時1ドル=120円を超えました。
しかし日々の値動きを追っていくと、短期間にドル安円高方向に揺り戻した局面が、中国の経済指標の悪化、アメリカの軍事行動、中国の通貨政策の変更、アメリカの大統領選挙、トランプ大統領のツイートなどをきっかけに何度もありました。
FXでは、順張りで笑った人も泣いた人も、逆張りで笑った人も泣いた人も、両方いたことになります。
順張りと逆張りは、どちらが良い、悪いというものではありません。どちらもその投資家のスタイルです。
ファッションで真っ赤な服が好きな人が、たとえ他人から「似合わない」と言われてもそれを着続けたら、その人はそれを自分のファッションスタイルとして確立しています。
もし「似合わない」と言われて着るのをやめたら、ただ着てみただけで真っ赤な服はその人のファッションスタイルではありません。それと同じようなものです。
参考までに「ミセス・ワタナベ」とも呼ばれる日本のFX投資家の投資スタイルはトレンドに逆らう「逆張り」が多数派と言われています。
その場合、「USD/JPY」では「アベノミクス相場」のもと、レートが短期間にドル安円高方向に揺り戻した局面に「短期決着」で利益をあげたことになります。
時間の使い方で投資スタイルが変わってくる
FXの投資スタイルが「短期決着」か「長期決着」かも、結果を大きく左右します。時間の使い方による投資スタイルの区別を細かく分けると、次の4つがあります。
- スキャルピング 数秒~数分
- デイトレード 1日以内
- スイングトレード 数日~数週間
- 中・長期トレード 数週間~数年
1、スキャルピング
「買う-レートが上がる-売る」や「売る-レートが下がる-買う」を、数秒から数分の間に行って、それを何度も何度も繰り返します。
反射神経が必要な「早撃ち」の高速取引を連続して成功させたら、数円から数十円の利益が積み重なってたちまち数百円、数千円になります。
でも人間の能力、集中力には限界があり、神経をつかう単調な作業を1日1000回も繰り返せませんから、自動売買の「プログラム売買」のお世話になります。
FX業者はコンピュータシステムへの負担が大きいので嫌がり、口座を解約されることもありますが、歓迎している業者もあります。
2、デイトレード
1回の取引の時間はスキャルピングよりも長いのですが、1日のうちに完結(手じまい)させて夜を越しませんからデイトレードと言います。
実際の「売り-買い」「買い-売り」の所要時間は数十分から数時間というところで、そんな時間では取れる利益は限られますが、損失もまた限られます。
自動売買を使わなくても投資家個人の能力だけで十分できますから、「少額・低倍率・短期決着」を目指す初心者にも向いています。
3、スイングトレード
スイングトレードはデイトレードと違って、夜を越します。
それでも一つの取引は数日から数週間で完結させます。
1回の取引に期待できる利益はより大きくなりますが、その半面、デイトレード以上に損切りへの意識が必要になり、その意味では初心者には難しくなるかもしれません。
4、中・長期トレード
数週間から数カ月の中期トレード、さらに数年間の長期トレードを含みます。
「ファンダメンタルズ」と呼ばれるデータを分析してその国の経済の将来を見きわめ「じっくりとレートの上昇を待つ」ようなイメージがありますが、狙いは売買の価格差だけではありません。
トルコリラ、南アフリカランド、オーストラリアドルのような「高金利通貨」とゼロ金利の日本円とで通貨ペアを組むと政策金利の差が大きいので、それを補正するために「スワップポイント」という金利のようなものがもらえます。
それも含めた総合的な利回りを考えて投資しています。中・長期のトレードはどちらかと言えば大きな資金が必要なので、初心者向きとは言えません。
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