数ある金融商品の中で、投資信託は他の金融商品とは性質を異にするものです。
その商品としての成り立ちや歴史も他の金融商品とは違うため、適切に理解するのが実は難しいものでもあります。
投資を行う上では、投資信託の性質をよく理解し、他の金融商品との違いが明確な方が投資もしやすいでしょう。
他の金融商品と比べて投資信託がどのように違うのかという観点でまとめてみました。
預金との比較
投資信託は、もっとも身近な金融商品である預金とは大きな違いがあります。
例えば、預金は元本保証で、銀行に預けている間に利子がつくことはあっても、預けた金額が目減ることはありません。
しかし、投資信託は元本保証されないので自分が費やした資金よりも減ることがあります。
その意味では自分のお金を1円でも減らすことに耐えられない人は投資信託を購入するのは向いていないかもしれません。
投資信託を購入するのが向いている人についてまた預金は預けたときに金利が決まっているので、確実にその金利分を利益として将来得ることができます。
しかし投資信託は、想定利回りはありますが、必ずしもリターン率が決まっているわけではありません。
運用成績が投資信託ごとに異なるので、収益性の高い投資信託に投資をしないと大きな損失を抱えることになります。
そして、預金は銀行でしか行えないものです。
投資信託の保有については金融商品として扱っているところであれば、銀行や証券会社などで購入することができます。
投資信託はペーパーアセットである
まず、投資信託はいわゆるペーパーアセットと呼ばれる金融商品です。
ペーパーですから紙ということですが、実物が見えにくいということです。
投資信託は基本的に株式や債券等が組み合わさってできているセット商品のようなものです。
この商品の一部の権利をそれぞれの投資家が持っているといった形の金融商品になります。
それゆえ、保有する投資信託の口数に合わせて分配金の比率も変わってきたりします。
基本的に市場で取引される金融商品のほとんどがペーパーアセットであり、その反対が実物への投資ということになります。
具体的な商品に直接的に投資することを指し、不動産や金や鉱物資源といった先物取引で取り扱われるようなものを指すことが多いです。
従って、投資信託への投資は実物への投資よりも間接的な投資ということができます。
株式などとの比較
では、投資信託と同じようなペーパーアセットである株式との違いは何かというと、元本保証のない金融商品であることなどは共通しています。
利回りも想定でしかなく、最悪の場合、金融商品としてなくなってしまう可能性もあるのは一緒です。
ただし、株式は企業の株を直接購入することになるので、株主としての権利を得るためにはまとまった資金が必要です。
ミニ株など今はさまざまな買い付け方法で安く購入できますが、配当金を受け取ったり株主優待をもらうなど株主としての権利を獲得するためには、現状も相当の金額が必要となっています。
これに対して、投資信託は小口の投資資金でも参加できるので資金が少ない若年層でも気軽に投資を開始することができます。
また、どの株式を購入するかを決めたら自分で買い付けるための指示を出さないといけません。
もちろん、売却する場合も同様です。購入・売買するのに最適な時期を探ろうとするとなかなか実行できなかったり、思ったように取引できないリスクも抱えることになります。
その点、投資信託は株式や債券が組み合わさっている金融商品なので、投資信託を購入するだけで株式にも債券にも投資することができます。
しかも、自分であれこれ検討することなく、投資信託を保有することでずっと株式や債券に投資し続けられます。
株式ではないという点ではリスクヘッジができます。
また、株式はどこの証券会社に買っても同じですが、投資信託を販売するのは販売会社です。
つまり販売会社によって販売されている投資信託は異なっているので、さまざまな投資信託の中から自分の好きな投資信託を購入することができます。
運用はプロに任せる形なのが特徴
何より、投資信託は「運用をプロに任せる」というのが一番の特徴です。
投資信託を販売する販売会社、投資家から集めた資金を分別管理し、個々人の投資金額をしっかり分けておく信託銀行、集まった資金に対して投資すべき対象を選定し、実際に信託銀行に預けられている資金を動かす指示を出すのが運用会社です。
運用会社では海外情勢や株式や債券の状況を判断して適切な運用指図を考えるファンドマネージャーがいます。
個別の株式や債券を取引する投資家たちが日々やっていることを肩代わりしてくれるようなものです。
通常資産運用については、金融資産を保有する場合に売買のタイミングなどを考えます。
この売買の判断について、投資信託では株式や債券の売買タイミングはプロが検討してくれるので投資家は考えなくて良いのが投資信託の良さといえるでしょう
しかし、投資信託は特定の株式や債券を組み合わせた商品であるため、その数量などについて投資家自身が検討することはありません。
個別で株式や債券を購入する際は、自分でいつ購入するか、どれぐらい購入するかなどを考えなければいけませんが、その分自分の裁量は大きい点はメリットといえるでしょう。
しかしながら、自分の入金力は個々人で異なりますので、たくさん購入したいと思っていても、投資家一個人で個別の金融商品を購入する場合は限界を感じることもあります。
その点、投資信託は、複数の投資家から資金を集めているため、総資産はかなり大きな金額になります。
個人では手が出せないような株式や債券をその時々に合わせて売買できるため、個人では得られない利益を得られることもあります。
特に投資資金が少ない投資初心者にとっては人のお金の力を使ってお金を増やすチャンスがあるのが投資信託という金融商品の特徴です。
このメリットは投資信託のデメリットでもあり、自分で運用をしたいと強く考えている人にとっては、投資信託は自分で運用ができない点は難点といえるでしょう。
自分で自由に投資をしたいという人には個別で株式や債券を買うのがおすすめです。
しかし、本業が忙しくて自分で金融商品を選ぶ時間がない人にとっては、資産運用に対して余計な時間をかけずに済みます。
自分の時間を資産運用以外にも使いたい人にはおすすめです。また、投資をする金融商品を選ぶ手間もかかりません。
初心者から上級者まで幅広く利用できます。今や投資信託は日本で販売されるものだけでも6000本を超える商品があり、低コストで自分好みの株式・債券比率の商品を見つけやすくなっています。
まとめ
投資信託は、他の金融商品に比べて比較的安定的に資産運用をしていくために活用できる金融商品の一つです。
株式や債券がパッケージングされた金融商品で、運用自体は、運用会社などのプロに任せることができる商品です。
プロに運用してもらう分、信託報酬などの必要経費がかかりますが、自分の時間を極力使わずに資産運用できるとあって、サラリーマンなどにも人気です。
販売会社から、先進国や新興国株式などを含む商品も多数登場しているので、気軽に海外投資したい人にも人気だったりします。
投資信託にはメリットもデメリットもあるので、それらを踏まえた上で投資を検討したいものですね。
投資信託のメリットとは投資信託のデメリットとは
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